お読みあそばせ

本とか映画の感想文

BLの名手・凪良ゆうの綴るBL以外の愛の形「神様のビオトープ」

集英社オレンジ文庫から「きょうの日はさようなら」を出した一穂ミチに続き、BLの名手が一般向けに書いた本。講談社タイガが発表されたときに、名前を見つけてこの日をどれだけ待ちわびたか。ちなみに一穂ミチの名前もあったのでそちらも楽しみにいしている。

ビオトープ、懐かしい単語だな。環境デザインを専攻していたので、耳に馴染んだ言葉である。簡単に言うと、田園風景のような人間が作った場所で、動物や植物が自生し、うまいことバランスを保って、いい感じの自然環境になってたのが良かったので、それを住宅や都市でもやってみよう、というやつ。人間が手をいれて、長く共存できる自然を作る、みたいな。
そこにあるのは小さな世界だ。生きてる箱庭……? と思ってくれればよいと思う。

本作は連作短編で、そのどれもが少し歪な愛の物語である。男×男こそ出てこないものの、そのどれもが、広く一般には受け入れがたい愛の形だ。多くの人には受け入れがたいという部分で、たしかにBLに通じる部分があるのだけど、BLではなかった。むしろBLを読まない人にこそ読んで欲しい。
いやーーーーーー、正直こういう話がめちゃくちゃ好きなのでだいぶ興奮してしまったのだ。

わたしはひとりが平気な人間だし、幼いころ、わりと周りに「なに考えてるの?」「話聞いてる?」と言われたタイプ*1なので、わかってもらえなさは少し、理解できる部分がある。それでいいと思ってるし、しょうがないと思ってる。
登場人物たちはそれぞれ、分かり合いたかったり、諦めていたり、決意していたりするけど、それを全部ゆるっと笑ってしまう、主人公の死んでしまった夫の存在が清々しい。それが死んだからだと思うと、「あなたには関係ないから笑えるのね」と思うし、でも生前からの性格だと思うと萌える……。夫、なんと罪深い存在なのだ。

これすごく映画向きの作品だと思うんだけど、どうでしょう。数年後、どっかの監督が見つけて映画化してくれないかな。してくれ!

神さまのビオトープ (講談社タイガ)

神さまのビオトープ (講談社タイガ)

*1:いまもわりとよく言われる。話は聞いてる