お読みあそばせ

もはやただの日記

プラモデルに失敗した。そうするとプラスチックの塊が生まれる。悲しい。

楽しく塗っていたmengmodelの戦車だけど、失敗したのでプラスチックの塊になった……。すごく悪い言い方をするとゴミになった。はじめての迷彩、一生懸命塗ったところで車輪が入らないことに気づいてしまったらやる気がゼロになっていた。悲しい。

こういうこと、自分は結構頻繁にある。というか、飽きる。ものすごい速度で飽きる。とにかく飽きやすいから保守とかむいてない。保守できる人はすごい。

サイドスカート……………………

わたしは自分の作るものにほとほと興味がない。らくがきとかイラストとかSSとかいろんな二次創作をしてきたけど、全部捨ててきた。友人たちに絶叫されたけど、いらないものはいらない。坂本龍一とかも、自分が生み出した曲がどう使われるかということに、あまり興味がなかったらしいけど、その気持はとてもよくわかる。自分にとって作品は排泄物に近い。

だけどプラモは作ったあともまあまあかわいいと思えるし、飾っている。
理由を考えたけど、プラモは分割されているものをくっつけて、色塗ってるだけで、本当にすごいのは、これがこうなるように作ったメーカーの職人たちだからだろうと思った。組み立てただけで「ひょえ〜〜!!かっけえ〜〜!!」となる。
99.9、メーカーの人たち、0.1が自分の工作がプラモデルだ。
ワンフェスがあったけどあれも同じことが言えるので、買ったら多分結構大事にすると思う。

気を取り直して、新しいプラモデルを開封した。

「作品」というと、ほとんどはいちから作ったものなので、プラモみたいにある程度すごい先人たちの技術を真似て、似たような感じにできるもののすごさを感じた。
失敗は失敗として胸に刻み、今は海洋堂のサクラ大戦 1/35 霊子戦闘機無限 神山搭乗機を塗っているんだけど、どうやって塗るか考えあぐねたら、らいだ〜Joeさんのすごい技術が飛び込んできたので、これでやろ! となった。
「すごない!?」って感じですが、やってることは単純な筆塗りを丁寧に行っているだけである。

hjweb.jp

初心者だから飛行機模型みたいに、ちょっと作っては確認して塗って、ちょっと作っては確認して塗って……をするので机の上いっぱいっぱいになる。

机を2階に運んだら首があらぬ方向に曲がりそうだった

断捨離が間に合わない

見切り発車で、というか。日程をみるともう来週の連休でやるしかないので、先に不用品回収をお願いしてあった。つまり今週が最後のチャンスだったのに予想外のことが起こる。

羅小黒戦記、2週目の特典、激マブステッカー(予想外その1)。小黒がポップコーンのやつ! 絶対欲しいじゃん、macに貼りたいじゃん! 感染者が激増する中サッと行ってきました。これで土曜は終わった。
日曜は、家具の開封。先に開封しておかないと、新品の家具の匂いが臭いと困るので。生理になって体調が優れない中(予想外その2*1)、えっちらおっちらひとりで組み立てて、ゴミ捨てたらもう夕方だった。クローゼットが未着手なの、せめて中に何が入っているか確認しておきたかった。引っ越してから一度も空けてない謎の箱……。

家具も、本棚を先に組み立てて、漫画をそっちに移して、今の棚を空にしようと思っていたんですが、回転漫画ラックが思ったより重くて(予想外その3)、漫画全部抜いたとしても運ぶのが大変そうなのでやめました。
代わりにゲームラックに先にゲームを移しておこうと思ったんですが、PS4で今やっているゲーム、原神なので仕舞えない……(予想外その4*2)。月パス運用なのでログインボーナスは絶対に貰わないと。仕方ないのでswitchだけ外してラックにのっけとこうと思います(switchにしても19日に桃鉄がでる)。

あと買うものはプロコン、ヘッドホン、無印パルプボードボックス。あと多分机の裏にヘッドホンのコード止めておくコードクリップ、コードをまとめるやつ、6口くらいの電源タップ、コード隠すなんかしら、は必要になる気がする。コード関連は先に買って失敗するの、嫌なのであとでもいいという感じ。
人生ままなりません。

歌集買った

谷川俊太郎が好きなんですが、装丁も気になったので「今日は誰にも愛されたかった」を買いました。

そしてこれを読むために、岡野大嗣・木下龍也共著の歌集「玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ」も買いました。こっちの装丁もすごい。

短歌てたまに読みますが、短歌だけだと読み慣れてない人にとってはわりととっつきにくい(気がする)。でも「今日は誰にも〜」のように感想戦まで収録されてると面白い。作ってる人がなに考えて作ってるのか、というところに短歌に限らず興味があるからだと思うけど。
「玄関の覗き穴〜」は、ふたりが高校生になりきって7日間を読んでいる……という。これだけでもうエモ死しそうなんですが、たまに刺さってくる死の気配にエモ死しました。こういう強烈なコンセプトのある短歌も読みやすいというか、手に取りやすいと思った。まだ途中ですけど、ラストの歌がめちゃくちゃいいし……。

倒れないようにケーキを運ぶとき人間はわずかに天使

いいでしょ。
単純なので短歌やりたいような気になってくる。

今日は誰にも愛されたかった(1200円+税、ナナロク社)

今日は誰にも愛されたかった(1200円+税、ナナロク社)

*1:毎月のことなのにスマホが通知してくれないとすぐ忘れる。

*2:原神をこんなにだらだらやってる予定じゃなかったが、気まぐれでやった10連でタルタリヤが出てしまったのでやるしかなくなっている。武器も聖遺物もないのに。しかしこの状態で「本命は12月のしょーり先生! レザーくんも絶対欲しい!」と言っていた。

VTuber、本腰いれてチェックします。

北海道も国から自粛せえと言われて1ヶ月おとなしく過ごしていました。もともとフルリモートワーカーなので99%通常営業かと思いきや、お仕事している相手は会社へ行く人たちなので、自粛期間中のお仕事は少なかった。今も少ない。
引きこもり防止対策として、1−2週に1回映画館へ行っていたんですが、それがなくなりました。それが1%。自粛があけたので、ハンターキラー4DXとANNAを見に行きました。

スタバのソロフィルターがよかった

ドリップするのを待つ時間が好きじゃないので、ソロフィルターがずっと欲しかったんですが、自粛をきっかけについに購入しました。ペーパーフィルターで淹れてる人は粉を捨てたり洗う手間が増えるからわからんけど、金属フィルターで淹れてる人には向いてると思う。
箱の作り方には書いてないけど、少し蒸らすといい感じ。コンビニコーヒーと家ドリップの間くらいの濃さです。蒸らさず淹れるとコンビニコーヒーくらいの薄さ。

給付金入らない

わからん。もう入ってるかも。
そもそも書類も親のが先に送られてきて、1週間後くらいだった。遅くて笑ったけど、母がスーパーの知人を安心させることにこの話を使ったようです。実家住まいだけど世帯分離しているので、いろんなものが別々に送られてきます。親との経済格差がすごくてね。
妹は離れて暮らして自立しているのに、親のと一緒に届いていた……。そういえば選挙のはがきもうちに来る。
親のはもう振り込まれているので、給付金で住民税払うかと思ったのに入ってなかった。税は確定申告の還付金で払った。

覚悟をきめてVTuberを追いかけようと思った

ヒメヒナとかMZMとかKMNZとかアメノセイくんちゃんとか神椿とか、音楽系中心に見ていたんですが、ひと月くらい前にホロスターズからデビューした影山シエンきっかけで、もう観念して追いかけることを決意しました。ホロスタはイヅルくんと律可ちゃんをフォローしていたんだけど。ホロスターズ立ち上げのときに、ロゴをBALCOLONYが制作していたのを知り、それきっかけで観測自体はしていました。


【語枠】好きな声優さんを語る枠【ホロスターズ/影山シエン】

そもそも、キャラじゃなく、本人が見えてくるから生配信は好きじゃなかったんだけど、ボスの声優について語る放送を聞いて「同世代やん!!!!!!!!!!!!!!!!」と思ったらそこは沼だった。あとコメントに男ファンが多そうなところも大変居心地がよい。
そしたら、ボス、同期3人組とTriNeroというグループを組んでて、基本ソロだけどグループもありというスタイルはアイマスなんかを彷彿とさせ、オタクと親和性がよかった。同期のひとり月下カオルは見た目女の子で「はいはい、どうせ今どきはやりの声もかわいい系なんでしょ」と思ったら、声めっちゃ男だし、ASMRでベイブレード組み立てるし、とはいえちゃんと美容系の配信もあって、今朝ついに美少女受肉の新時代だと確信した*1


【雑談】私達、とらい危族で飲んでます~デビュー1か月を振り返って【TriNero/ホロスターズ】

ホロスタ、初期メンの卒業もあったけど運営がしっかりしてるし*2、所属タレント同士の仲がよくて、アイドル好きなオタク女との親和性はめちゃいいと思います。ただあんまり女の子の好きそうな配信をしていないんだが。

そして日曜日、これはもうだめだちゃんと追いかけようと思って、分けるのが面倒だったyoutubeをチャンネル分割。Twitterもちゃんとリスト分けをしました。これで遠慮なくコメントもスパチャも送れるぞ。

アイドルにはハマらないと思ってたし、今もアイドル的ハマりかたではないと思う。これはかつてニコニコ動画で囲炉裏さんやスパークさんや空気さん、kirinさんを追いかけてたときの親近感や尊敬に近い。「おっ、お前もそれ知ってたん!?」みたいな。
朝から晩まで誰かしら配信しているので、時間が圧倒的に足りなくなりました。怖い。

*1:カオルちゃんは美少女ではなく性別は男の設定である

*2:運営と本人がしっかりしておらず炎上したVTuberを何人かチェックしていた

無職転生を読んでいたら1週間終わってた

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こないだの日曜日に購入した狸の信楽焼き、こちらです。木彫りのクマは以前からいます。
狸、近くで見ると「むふん」としか形容のできない口角の上がりかたがかわいい。

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今週はなぜか月曜から無職転生のweb版を読み始めて仕事が全然手につかなくてあせった。でも仕事もそんなになくてよかった。こういう場合は一刻も早く読み切るにかぎる。
だいたい、漫画を読んで続きが気になり、なろうで読むんですが、無職転生はいい話でした(書籍版の挿絵もめっちゃいい)。似た構造の話に「結界師への転生」があります。無職転生も主人公は天才だけど、自分が弱いやつということを知っているので、俺TUEEになりきってない部分が好きです。一夫多妻も……まあ……。エリスがかわいいしな……。私はBLでもNLでも正妻になれなかったことにロマンをはせるタイプなので、すべての女を救う男は好きですけど、基本的には一夫一婦制がいいな、と思っています。
さらに例に漏れずラスボスは神的な何かなんですが、主人公は神を倒す役割を与えられていない部分もめっちゃ好感が持てました。書籍版はどうなるんだろ。神を倒すために神になる(強さのインフレ)、嫌いなのでこのままであって欲しい。アニメ化楽しみです。好きなキャラは無論エリスです*1

あとおととい? くらいにデパ地下へ行ったんですが、今大丸札幌ででてるアンドリューのエッグタルトがめちゃくちゃおいしかった。土日行くことがあれば買っておきたい(16日まで)。
エッグタルト、好物のひとつなんですが、北海道はチーズを入れたがるのであまり買えない。どんぐり(札幌の有名パン屋。北欧的なやつ)にもあったはずなんだけど、今はもう見ないし。エッグのまま売って欲しい。

*1:基本的に猪突猛進体育会系キャラ好きじゃないんですけど、エリスの200%猪突猛進体育会系バカなところ最高じゃないですか? 女っぽいあざとらしさ皆無。作中の男より男らしい女。自分は考えるのは苦手だから主人公に従ってればいいのよ! で、それを自ら選んだ強さがある。本当に最高。強いヒロインに興味ない私が好きになったんだから、このパワーはすごい。

世界観がしっかりしていて2巻もめっちゃ楽しみ! な「天空の翼 地上の星」

中華ファンタジーと聞くと「十二国記」をどうしたって思い出してしまう私です。こんにちは。
慣れない国が舞台だと、登場人物の名前が覚えられなかったり、文化背景に疑問がでてきます。いつもそこで購入を悩んでしまうけど、和風ファンタジーは少年陰陽師で、海外ファンタジーはハリポタで、中華ファンタジーは十二国記で履修しているので、問題ないことが多いです。

本作は、まず世界観がしっかりしているのが素晴らしい。ファンタジーにおいてこれは大前提ですが、世界観を掘り下げてくれればくれるほど好きです。
キャラクターもすごくよい。ニアBLといってもよいと思う。ホワイトハートだし。ニタニタしてしまうけど、彼の旅の結末がそこにあるのかはわからない。まだ1巻だし。これについてしゃべると、あらゆることがネタバレになってしまう……。

で、世界を書こうとしている感はあれど、主人公はあくまでも飛牙、というスタイルなので小難しくなくジュニア小説らしい。登場人物もそれほど多くないので「漢字が読めねえ」と目次に戻る回数も少ないはず。
舞台が政権交代で荒れに荒れた国が舞台なので、この国の今後が気になりつつも、2巻の舞台は飛牙の行く場所・次の国へと写るのがもったいな〜い! でも2巻が待ち遠し〜い! と思っていたら、7月に2巻がでるとのこと。ヤッター! Kindle版待ってるね!

天空の翼 地上の星 (講談社X文庫ホワイトハート)

天空の翼 地上の星 (講談社X文庫ホワイトハート)

ひとりぼっちだった少年の、もう失われた世界の話し「K SIDE:GREEN」

まさかスクナにそんな過去があったなんてね。

アニメ「K」のスピンオフ小説であるが、Kはそもそもアニメで描いているのは、一番派手なシーンだけなので、オタクが喜ぶキャラクターの掘り下げは小説やマンガを読まないと、ほぼ全くわからない。
不親切な設計ですが、それでもアニメは面白い*1

アニメではスクナ、cv釘宮りえのめちゃ強い子ども。という印象だったのですが、彼もまた、心に傷を抱えたKの登場人物で、jungleはそんな彼が唯一見つけた世界であった――完!
幸せな世界はアニメですでに崩壊していて、二人目の友だち・流も死んでるし、彼のことを思うとただただかわいそうになってしまった。
でも、シロもアンナも宗像もきっと「それが生きていくっていうこと」と言いそうだし、事実世界は理不尽なので、スクナには強く生きて欲しい。

それと別に流もかなり好きなキャラだったんですが、改めて彼がどのような理念のもと戦っていたのかわかり、ゾッとしました。
流の「迦具津事件のとき、すべての人間が王ならこんなに被害はでなかったから、みんな王になるべき」という強引な方法は「石盤を破壊する」という、別の方向からのアプローチで解決さたことを考えると、K2期の最後のバトルは、信念の戦いであり、それはめちゃ熱い展開だったなと、思います。

K、主要登場人物の過去がそれぞれつらいところ、本当に大好きです。

K SIDE:GREEN (講談社BOX)

K SIDE:GREEN (講談社BOX)

*1:アニメの世界の常識をいちいち説明しないのが好き

泥水の中の歪んだ愛と希望、そこから生まれる幸せ(?)な未来について「のばらセックス」

イエーイ! セックスしてますか!?
と出だしましたが、この本そういう話しではない。タイトル通り歪みきった世界で唯一の女として生まれたおちばちゃんが、多くの男根を突っ込まれても、めげずに愛を信じ、自分の未来を信じ戦う精戦である。誤字ではない。
暴力と精液にまみれた汚泥の中から現れたのは、ちょっと変な家族写真。ピース!

さて。中盤から、なるほど「ビスケット・フランケンシュタイン」に近いにおいがすると思っていました。性? 愛? によるSF?*1
本作のほうがより歪んでいるし、直接的な表現がバンバン出て来るし、エグいけど。絵的にはかわいい女の子とかわいい女の子で、もっというと、男の娘と女の子で、やってることは強姦ですけど。

数々の男根を無理やり突っ込まされて、それでもめげずに生きていくおちばちゃんのガッツがすさまじい。BLにも言えることですが、痛い系ラブストーリーでは性的にタフでないと生き残れないことを、まざまざと見せつけられました。
おちばちゃんの、どんな悲壮な目にあっても、めげず、戦い、自分と、自分の周りの人がなるべく穏やかに、幸せになれるようにがんばる姿のなんと強いことか。

セックス、という文字のインパクトが強いのですが、人間を殺して食べる集団とか(ちょうかわいい)、人間を殺して性的興奮をえるうさみみとか(ちょうかわいい)もいて、中二病罹患者には、めっちゃ響くキャラクターばっかり出てきます。
ラストはびっくりするほどのハッピーエンドで、お見事でした。中盤がつらければつらいほど、ラストが輝く物語です。

のばらセックス (講談社BOX)

のばらセックス (講談社BOX)

ビスケット・フランケンシュタイン (メガミ文庫)

ビスケット・フランケンシュタイン (メガミ文庫)

*1:めっちゃライトなSFファンなので、ふんわりとしか言えない……

無性にマッサージに行きたくなる「今夜もカネで解決だ」

ジェーン・スーの噂のエッセイを読みました。なぜなら私もマッサージが好きだからです。というか、いい年になったらいい感じで働くためにマッサージに行くのは必須です。もはやマッサージはご褒美ではなく、治療。

私の行きつけはいくつかあり、中でも某治療院が一番予約がとれない。そこは「脳の不調を改善し、自己治癒能力を高める」というもので、いわゆる一般的なマッサージと違い強く揉んだりはしません。ゆえに「揉まれた〜い」「触られた〜い」と思うことがしばしば。
ええ、予約しましたとも。近所の激安マッサージ店を。

「女のマッサージは男の風俗」とはよく言ったもんだ。私は主に治療のために通っていますが、妹はおしゃべりしに行くという。
いい年になって恋人もいないし、誰とも接触しない生活だと、ふと人間との物理的接触をしたくなる。でも恋人作るのが面倒だし、親におねだりするのもな〜〜! というときは、マッサージに行きましょう。心の充足はもちろん、コリもほぐれ体が軽くなります。
ホットペッパービューティーを見れば、美容室同様初回はお得なクーポンがついてくるので、ジプシーするのもよいでしょう。予約もネットで一発です。

ちなみに私が好きなのはドライヘッドスパ*1

今夜もカネで解決だ

今夜もカネで解決だ

*1:ドライじゃないのも好きだけど、セルフドライが面倒くさい!乾かしてくれ!

BLの名手・凪良ゆうの綴るBL以外の愛の形「神様のビオトープ」

集英社オレンジ文庫から「きょうの日はさようなら」を出した一穂ミチに続き、BLの名手が一般向けに書いた本。講談社タイガが発表されたときに、名前を見つけてこの日をどれだけ待ちわびたか。ちなみに一穂ミチの名前もあったのでそちらも楽しみにいしている。

ビオトープ、懐かしい単語だな。環境デザインを専攻していたので、耳に馴染んだ言葉である。簡単に言うと、田園風景のような人間が作った場所で、動物や植物が自生し、うまいことバランスを保って、いい感じの自然環境になってたのが良かったので、それを住宅や都市でもやってみよう、というやつ。人間が手をいれて、長く共存できる自然を作る、みたいな。
そこにあるのは小さな世界だ。生きてる箱庭……? と思ってくれればよいと思う。

本作は連作短編で、そのどれもが少し歪な愛の物語である。男×男こそ出てこないものの、そのどれもが、広く一般には受け入れがたい愛の形だ。多くの人には受け入れがたいという部分で、たしかにBLに通じる部分があるのだけど、BLではなかった。むしろBLを読まない人にこそ読んで欲しい。
いやーーーーーー、正直こういう話がめちゃくちゃ好きなのでだいぶ興奮してしまったのだ。

わたしはひとりが平気な人間だし、幼いころ、わりと周りに「なに考えてるの?」「話聞いてる?」と言われたタイプ*1なので、わかってもらえなさは少し、理解できる部分がある。それでいいと思ってるし、しょうがないと思ってる。
登場人物たちはそれぞれ、分かり合いたかったり、諦めていたり、決意していたりするけど、それを全部ゆるっと笑ってしまう、主人公の死んでしまった夫の存在が清々しい。それが死んだからだと思うと、「あなたには関係ないから笑えるのね」と思うし、でも生前からの性格だと思うと萌える……。夫、なんと罪深い存在なのだ。

これすごく映画向きの作品だと思うんだけど、どうでしょう。数年後、どっかの監督が見つけて映画化してくれないかな。してくれ!

神さまのビオトープ (講談社タイガ)

神さまのビオトープ (講談社タイガ)

*1:いまもわりとよく言われる。話は聞いてる

知っていたらこんなん笑うわ「池袋カジノ特区 UNOで七億取り返せ同盟」

とられた金を取り返す。あるいは自らの実力を証明するため、ギャンブルに挑む物語は多い。知略とギミックを駆使して戦う姿に、心が熱くなる題材だ。ルールが分からずとも。
ブラックジャックが分からなくて「マルドゥック・スクランブル」を投げた人も、麻雀が分からなくて「盤上の夜」を投げた人もご安心下さい。今作は、UNOで勝負します。UNOがギャンブルになりうるのか。なります。数字札はそのまま数字の分、英語カードは20点、ワイルドカードは40点あるいは50点という点数が本来はあるから。
小学生のときは大人とその点数で競ってお小遣いを巻き上げていたなあ。

で、読み始めたらとまらなくて、あっという間に読んでしまったけど、まず結末は完璧としかいいようがない。勝つだけでは終わらない。そこ持ってくるのかよ〜〜!! と顔を覆った。
まあお見事である。
ギャンブルの内容自体はあっさりしているが、見事なテンポで起承転結まで転がり落ちてしまった。 そのテンポを支えているのが、どの人物も大げさなセリフまわしというか、劇場型というか。「運転手さん、前の車、追って下さい!」みたいな、現実で使ってみたいけどそれを言う機会はなさそうなセリフがポンポンでてくる。「その節はショットガンでの御褒賞、どうもありがとうございました」。

さらに、それなりにミステリー小説やラノベ、エンターテインメント小説を読んでいるとなお楽しい。
円居樹「下鴨北大路アペルスヴォワール」、西野奎吾「プールサイド」「はじらう刃」、篠葉小百合、森陸「三月は深き紅のF」、高島田荘司錬金術殺人事件」。そして大人気漫画家・八条キヨ「トリニティ・ブラッドオレンジ」。
なんやねん(爆笑)。
本を読んでていてこういう気持ちになったのは久しぶりです。

作者は、メフィスト賞を受賞してデビューしている。2007年「天帝のはしたなき果実」。私が最後に読んだメフィスト賞は2006年真梨幸子の「孤虫症」。
そのときはまだ学生で、高専の図書館で借りて読んだことを思い出した。そんな頃にデビューされたのね、と感慨深くなってしまった。

背中合わせの無数の世界「僕が愛したすべての君へ」「君を愛したひとりの僕へ」

パラレルワールドSF小説。作者がラノベも書いているのもあり、だいぶラノベよりで読みやすい。一気に読んでしまった。

この小説は同じ人間が主人公の、別々の世界の物語である。ここで「どっちから読むか問題」が発生する。どっちから読むかで物語の印象が変わるし、初読の感想は1度しか味わえないので生きるか死ぬかの決断にも近い。
ぜひゆっくり迷って下さい。
ちなみに私は「僕が愛したすべての君へ」から読んだ。「君を愛したひとりの僕へ」から読むと、おそらく「僕が愛したすべての君へ」が結末になる。
「僕が愛したすべての君へ」から読むと、「君を愛したひとりの僕へ」が物語の行間を補完するだろう。

さて、二次創作でつがいの片方が死んだとき、もうひとりはどうするか? のアンサーを私はここに見た。
キャラの解釈は無数にあり、追って自死してもよいし、世界を滅ぼしてもよいし、そこで物語を終えてもよいし、見なかったことにして幸せな世界線を描き続けてもよい。
私の好きなキャラクターはよく死ぬけど、無意味に死ぬキャラはそんなにいないので、わりと死を受け入れる方向で生きていくけど、死を受け入れられないなら、過去を生きるしかないな…。

主人公、結構好きだけど、第2あるいは第3の女・瀧川和音が、主人公のことをどっちの作品(世界)でも好きだということが、いいなと思った。
「僕が愛したすべての君へ」と「君を愛したすべての僕へ」で主人公は大きく違った運命を歩むけど、瀧川和音はどちらも主人公を愛しているという事実が、もう一つの軸……というか、揺らぐ平行世界を固定させているみたいで、うまいなあと。

面白かったので記憶を消して、順序逆で読みたい。

キャラクターそれぞれが生き生きしていてかわいかった〜「後宮饗華伝」

女子向けラノベを、エロを含む含まないに関わらずティーンズ文庫とよんでいます。
さてGWです。市民共同書庫ブックオフが本20%オフとのことなので、本棚を整理して新しい本をいくつか購入しました。本作ははるおかりのの後宮シリーズ2作目です。1作目、読んでないけど全然話は通じます。

以前から、小説のグルメものどうなんだろうと気になっていました。あとA3!にハマったこともあり、ヘテロものの研究のために面白いティーンズ文庫を読みたかった。
後宮ものって、難しそうなイメージで、実際、漢字が多いし、人名と階級名と別々でとっつきにくい印象ですが、十二国記とか好きなら大丈夫。ティーンズ界隈では後宮ってわりとメジャーな題材ではないでしょうか。

ヒロインは貧乏な家で、両親とは死別、兄に売られて逃げたところを拾われて……という悲惨な過去があるし、ヒーローも毒殺未遂された過去から、自分で作ったクソマズ芋しか食べない、という大変そうなバックがあるものの、キャラクターがコロコロしててかわいくて、読むのが止まらなかった。
ヒーローがクール系のキャラなのに、ヒロインのこと慮るようになってからが、まさに乙女ゲーの攻略キャラみたいで好感が持てる! 遙か5の瞬*1みたい。 メインの二人のそばで、別な恋も展開しているのもよいです。脇役が魅力的な小説でした。

ごはん描写もとってもよかった。なんとメインはごはんではないので、それほど常にごはん食べてるわけじゃないけど。裏表紙によると「おいしい中華後宮ミステリー」。
皮の厚い肉まんや小籠包が食べたくなるが、そんなものうちにはなかった。

このシリーズ、時間が10年単位で写っていくみたいなので、どこから読んでも問題ないとは思いますが、キャラの成長が見られるすばらしい時間変異ですね。他の作品も読みたい。

*1:クーデレの兄キャラでくっついてからは過保護が止まらない